青色ダイオードのノーベル賞から考える先端技術

こんにちは。

今回は、先端技術について考えてみます。

ノーベル物理学賞の発表があり、日本で発明された青色LEDの開発者に送られた。

LEDの基本的なメカニズムは、半導体中に電気が流れることで、電子の遷移によるエネルギー差に
該当する振動数を持つ光が発生することである。

身近な光と利用法

特有の物質に対して発生する光は決まっている。
その性質は今回の半導体から出る光だけではなく、照明などで使われる白熱灯でも同様である、
電流が流れることにより特定の物質からある波長の光が発生したり、放電によって物質と反応して光を発生する。
さらに、その光と色の関係は、古い美術品に含まれる塗料の構成要素を
特定することにも使われていて、古い美術品の復旧作業にも、スペクトル解析技術が使われたりする。

色のスペクトルの解析を行い、それに該当する色から、恒星の温度や構成要素を特定することができ、
宇宙開発にも使われる重要な技術となっている。

光は非常に身近な物質なのです。

太陽の光は、水素、ヘリウムなど計元素のから重金属まで様々な物質の核融合で発生しており
太陽は、それらの光を発生させるガスの超流動体である。

そんな太陽からは、様々な強さで様々な波長の光が発生する。
現在の科学技術の分野でば、太陽のエネルギーの効率の良い利用方法は、
太陽電池と太陽熱です。

太陽熱の利用

太陽熱の利用は、太陽の光を熱に変換して、そのエネルギーを有効利用する方法です。
日本の家屋では、太陽熱によるお湯沸かし機が身近なものとして上がります。

また、太陽熱を利用して熱を発生しタービン回転させる大規模な発電所の建設も行われています。

太陽電池の利用

近年、いろいろな意味で注目を浴びている太陽電池セルを利用した太陽光発電。
東北大震災が発生して、政府の方針が短期間で自然絵エネルギーに向いたことと
世界的に自然エネルギーに注目が集まってきていたことから世界中で急速に普及が拡大した。

ドイツでは、好景気なことにあいまって、原発を廃止し自然エネルギーに重点を置いたため
自然エネルギー普及が進んだ。ブームに乗り、大量の資本が投入され安価な製品が出てきたことで、
世界中に普及が進んだが、それに伴って、資本力があり低コストでの量産ができる企業による独占化が発生し、
価格競争に敗れた企業の撤退や衰退が発生し産業としては停滞気味になってきている。

太陽光には様々な波長の光を含んでいる。しかし、太陽エネルギーに利用できる波長は限られている。
それは、太陽電池は、特定の物質が特定の波長領域の光を吸収して電流を発生させるからだ。

もちろん、異なった特定領域の波長を発生させる物質を、多層構造にして太陽電池セルを作ればエネルギー効率は高まるが
それに伴い、反射したり、上層を透過できない光が、エネルギー効率を下げることになるため制御が難しい。

そして、電流が流れる際のジュール熱の発生による使用できる電気効率の低下もモデュール形成や伝送網整備で
課題となってくるところである。
高効率化には、製造コストが上がってしまうため、性能と製造コストは今の技術ではトレードオフの関係になる。

宇宙開発においては、高信頼性、高性能が必要であることと、オゾン層などの影響で吸収される光がないことから
さらに多くの振動数の光が利用できるため、非常に高い効率の太陽電池が利用されている。

一方で、太陽電池が比較的容易に製造できることが、中国での大量生産に拍車をかけ
高効率で値段の高い製品が出回りにくい構造を形成してしまっている。
価格の低下とともに上記で書いたように市場の独占化、淘汰が起こってきたのだ。

一般家庭では、電力会社から供給される電気の値段が非常に高価であることから
設置した際に、売電による利益は少ないが、電力会社から買う料金が減り、さらに、適切な蓄電池を
設置することによって、夜間の料金が節約できる可能性はあり長期間使用することによって
プラスになる可能性はあるのだろう。

そうした意味では、農産物同様、消費者が直接運用する場合に個人が設置するメリットが出てくるものと考えられる。

LEDに関して

LEDは、太陽電池と逆のメカニズムでその物質に特有の波長の光を放出する。
その特定の光を出す物質を発見するのが難しい。
そして、高効率、つまり、より少ない消費電力で光を発生するLEDの開発がが今後の主要な研究となる。

LEDは、白熱灯より10分の一の電気量で十分だといわれている。現在LED照明の料金が
LEDよりもかなり安い料金となっている。今の段階でLEDの耐久年数がどの程度なのかは疑問だが
耐久年数が同様の機関に使用する白熱灯の値段より安くなることで本格的にLEDが普及するようになるのだろう。

ちなみに、安価なLEDは、白熱電球よりも耐久性がない。これまでにLEDを購入したことがあるが、
粗悪品にあたってしまい、すぐに使用できなくなってしまった経験もある。
日本で購入できる製品でも粗悪品は入ってくるので注意が必要だ。

さらに、半導体から発生してくる光の中には、電子の軌道遷移から決まった振動数の光が放出されるが
遷移する軌道によって人体に有害な光が発生しないとも言い切れない、そして、
今の段階ではわかっていないことにも注意が必要なのかもしれない。

その他の先端技術

主要な半導体の主元素はシリコンを用いる。トランジスタの発明から
様々な用途に半導体が使われてきていて、学問として、理論的な説明も十分になされている。

現状の高性能化は、半導体素子の性能を落とさずに微細化によって、集積度を上げることになっている。
そして、より小さな半導体を形成するために使う製造装置が効果になってくるため、
半導体メーカー各社が自社開発のみならず、共同して研究開発を行う状態になっている。
中には、政府の支援で研究開発が行われている国地域もある。

その中の一つが、ベルギーのIMECであろう。ほぼすべての大きな半導体メーカーが
共同開発の人員を派遣しているのではないだろうか。

そこでは、微細化のみならず、新規材料を用いた半導体の開発も行なわれている。
もちろん、様々な大学など研究機関でも研究開発は盛んだ。

今のナノテク産業のメインストリームは、微細化による高性能化です。
近年のパソコンの性能をみるとわかりやすい。CPUの性能は微細化・高集積度で格段に向上し、
フラッシュメモリがSSDとして大容量のものが使われ始めている。

同時に、これらの製品が、微細化による性能のアップの限界にきているようにも感じられる。
微細化がSi原子の10個分程度になっているため、今まで問題視されなかった
電子の重なりの影響が半導体の性能に影響を及ぼすようになっていて、今まで同様の単純な
微細化では構造を維持できないためです。

これ以上の高性能化のためには、違ったメカニズムによるブレークスルーが必要なのだ。

その中で注目を集めているものの一つが、Ⅲ・Ⅴ族の半導体を用いた製品である。
高性能が要求される宇宙開発のため、太陽光技術では使用されてきている物質であるが、
大衆向けの民生品への応用が期待される分野です。

また、カーボンを利用した製品にも注目が上がっている。
高い電気のモビリティーを持つカーボンナノチューブ、グラフェンシートなどを、
半導体基板や電流を制御する配線、素子に利用する研究が盛んに行われている。
それ以外にも光技術と絡めてMoなど新規材料をもちいた研究内容も報告されている。

そうした新規材料を通して製品化できるプロセスの開発が
研究者の中で行われている。
光の発生する半導体の中で、当時、量産化が困難だった青色ダイオードの量産化プロセスの発見が
ノーベル賞として今回取り上げられたのは研究者のとっては良いことなのですね。

今後の展望

今後の新規技術の開発においては、新規材料で、今の製品の性能を大幅にアップする
もので、さらに、低消費電力の製品を開発するものが期待されます。
今の物理の法則からは、物質依存によるパラメータが変更可能な場所です。
もちろん、トランジスタの発見のように、全く異なったメカニズムを持つ発明がなされれば
違った製品分野が開けることにつながります。

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